2010年に世界で初めてネアンデルタール人の全ゲノム（遺伝情報）の解読に成功している、OIST・沖縄科学技術大学院大学のスバンテ・ペーボ教授の研究グループが4万年前に絶滅したネアンデルタール人から現代人が新型コロナウイルス感染症の重症化を防ぐ遺伝子を受け継いでいると発表。
新型コロナを予防する遺伝子は、別の研究グループによって12番染色体の上にあり、重症化するリスクを低下させる働きがあると、すでに特定されて来ましたが、ペーボ教授らは、この遺伝子はネアンデルタール人に由来していて、新型コロナウイルスが感染した細胞の中で、ウイルスを分解する酵素の働きを高めていることを発見しました。この遺伝子は、アフリカ以外に住む、約50％の人が持っていて日本人もおよそ30％の人が保有している。
しかし、より強力な重症化のリスクを2倍も高める遺伝子も現代人はネアンデルタール人から受け継いでしまっているという。予防する遺伝子はアフリカ以外に広く分布しているのに対して、重症化する遺伝子はヨーロッパでは最大16％、インドやバングラデシュなどの南アジアは、最大60％の人がこの遺伝子を受け継いでいるらしい。幸いに、日本や中国などの東アジアの人々は、この遺伝子を持っていないとされている。ヨーロッパや南アジアの人たちが重症化する遺伝子と予防する遺伝子の両方を持つのに対し、日本人など東アジアの人は予防する遺伝子しか持っていない。
このような偏りが生まれたのは、ネアンデルタール人から遺伝子を受け継いだ我々の祖先が、東アジアでコロナウイルスを含む疫病に襲われ、リスクのある遺伝子を持った人たちが淘汰されたのではないかと推察されています。
これって、以前にブログに載せたファクターXのひとつかも知れないらしいですが、ペーボ教授は、年齢や性別、基礎疾患、密接な身体的接触が少ない社会文化などの影響の方が大きいのではないかとしています。
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