■ノマドランドに見る、自由に生きるための価値観■

第93回アカデミー賞で最多3部門を受賞した、ノマドランドを見てきました。この映画は格差社会を描いた映画ではなく、今までの生活での価値観を捨て、新しい価値観で自由な車上生活者の生活共同体として生きていく人たちを描いたものです。

自由な分だけ不自由さもあるのだけれども、大自然の中で自由に生きられるという事の素晴らしさが、すべてのことを消し去ってくれるのでしょうね。。映画の中では、私はホームレスではなくハウスレスという、ノマドとしてのプライドを感じられるやりとりもあります。

ノマドは仕事を捨てた世捨て人だけではなく、あくせく働くだけの人生に疑問を持ったり、何かしらの理由でノマドになるきっかけが出来てしまった人も多く、リーマンショックで家を失った人、共同経営者にお金を持ち逃げされた人、PTSDの元兵士、マクドナルドの元副社長とかもいるようですね。

主演女優のフランシス・マクドーマンドの演技と映画のクロエ・ジャオ監督の演出が素晴らしいのですが、最初、女優であるマクドーマンドがこの映画をプロデュースして自分が適役かもしれないと強く思い、クロエ・ジャオ監督を選んだという経緯もあったそうですね。映画に出演する俳優は2人だけで、あとは本物のノマドが出演していて、演技もうまくリアリティがあり、これが監督の今までの手法の様です。

日本の団塊の世代はバブルで死ぬほど働いた分、年金ももらえて老後の生活レベルもある程度保証されていますが、若い世代は、安定した収入や年金での生活も期待できないので、ノマド(遊牧民)の様な自由で何ものにも囚われない生活というのは、自分たちに置き換えて、心に刺さるのではないかとも思われます。

映画の中で、ノマドが死を迎える最後はどうするのかという事に対して、安楽死という選択があるという話が出てきますが、一般的な社会的通念からすると自裁は悪です。家族のために、誰かのために苦しみに耐えて少しでも生きていたいというのであれば、それは何より素晴らしいことです。しかし、生きたいという本能的なものよりも、自分の死というものに自分以外に関わる者がおらず、自分もガン等の病気で苦しみ、その死によって少なからず社会の負担になるのであれば、ノマドが最後に行き着くところは、安楽死という選択肢もあり得るのかもしれませんし、このような最後の覚悟も必要なぐらい過酷なのかも知れませんね。。


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