■優生思想の闇■

最近では津久井やまゆり事件等で優生思想という言葉が取り上げられるようになりましたが、優生思想とは、生産性という価値基準だけで優劣をつけ、それにより劣ったものの淘汰を行うことで社会への負担を減らし社会に貢献するという非常に偏った危険な思想です。悲しいことに優生思想は19世紀の終わりから現代まで、いろいろ形を変えながら、いまだに人の心の内に潜み続けています。

優生思想が極端な形で現れたのがナチスのユダヤ人の大虐殺のホロコーストですが、それ以前にホロコーストのきっかけにもなったナチスのT4計画というものがありました。それはあまりにも衝撃的なのでメディアもあまり取り上げず、一般的にはあまり知られておりませんでした。その思想は、障がい者は生産性が無く価値がないものとして障害者への大量殺戮(強制的な安楽死)へとつながりました。ナチスのT4計画によって7万人の障害者が殺戮されましたが、T4計画が終わった後も、そのプロパガンダにより一般人さえも加担して更に13万人の障害者等が殺戮され20万人が犠牲になりました。

ハダマーの精神病院。障害者への大量殺戮が行われ、ここの煙突から毎日のぼる煙からは異様な悪臭が漂っていた。

日本での優生思想は戦後50年にわたって旧優生保護法が実施されており、劣等な遺伝子を排除するための不妊手術や断種が行われていました。そして、他の国々でも優生思想は日本と同じように行われ、悲しいことに福祉国家であるスウェーデンでさえも過去、積極的に行われてきた様です。

最近では、新型コロナウイルスの状況下で、英国の新聞の記事に高齢者の死が高齢扶養家族を減らせるので、有益かもしれないと書かれていたり、ウクライナの元保健相は、65歳以上の人びとは「すでに遺体」であり、政府は新型コロナウイルス感染症対応を「まだ生きている」人に集中すべきだとの見解を述べています。これに関してもまさに優生思想に基づく弱者への差別であるかと思われます。

日常生活の中でも、学歴や容姿、家柄、病気、住居地域、人種等、それだけで差別されてしまうことが多く、結婚への障害となってしまう場合も多いかと思いますが、やはり、これも優生思想の表れだと思われます。

歴史の中でも、優生思想を少しでも社会が容認してしまうと、必ずエスカレートして人々を分断してしまう事になってしまいます。これは、一部の人が持つ危険な思想ではなく常に人々の心の闇に潜み続けているもののようです。

優生学とかもあるようですが、生産性は単に良い遺伝子だけで決まるものではないと思いますし、環境やその他の要因等も大きく関係して来るでしょうし、いろいろな局面に対応できる多様性なんかも重要であるかと思われます。

 

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