資産としての家

資産としての家

日本での家の価値というのは15年も経てばゼロとなり、土地にしか価値が残って来ません。アメリカでの住宅は長期の公的な借地権の上に建っている家が多いので土地には価値がなく、家自体に価値が残ります。そのような、アメリカの住み替え指向による住宅事情において,毎週メンテナンスを行い家の価値を維持してリノベーション(刷新)によって建物自体の資産価値が高まり、それにより建物自体も長命になって来ています。

日本においては日本人の定住指向と相まって、日本人の家に対しての執着心や知識はアメリカと比較しますと希薄なもので、それに中古市場も確立されておらず、家自体の価値もなかなか認められないのが現実です。。。 あるアンケート調査を見ると20歳代の方の30%が「新築・中古にはこだわらない」と回答している様で、最近では景気後退により新築を買えるのに中古住宅を買う人たちも増えて来ている様です。国の政策が中古住宅へとシフトし、今後は若い世代の意識も変わり中古住宅が中心となっていく可能性があるでしょう。

不動産流通経営協会(FRK)は既存住宅の流通量が5年後ぐらいには新築住宅に迫る可能性もあるという予測を出している様で、今後の動きによってはアメリカの様に家に対しての意識が変わって来る可能性もあるかと思われます。 新築の場合においても機能性ににこだわり、素材を選び、メンテナンスやリフォームにより家の価値を高め、なおかつ長命にして行きたいものです。それには家の基本となる設計がしっかりとしていなければなりません。 そして、もう一つの資産は目に見えない親から子供たちに受け継ぐ精神的な資産としての家へのこだわりがあります。それは親の生き様そのものでもあり、人生哲学やライフスタイルの延長で生まれたもので、親から子供たちに受け継ぐ文化的資産でもあります。例えば空間ひとつをとっても子供は大きな空間を認識して情緒を育むものです。設計やデザインにこだわって依頼される方は家だけではなくいろいろなものにこだわりを持っておられ、家そのものにもその人が表れて来るものです。それはクラフトワークが得意とするものですが、建主と時間をかけて引き出して行かなければその様なものは形にはなって来ないものですね。